奇跡のように発売された緯度0大作戦。
当然のようにコレクターズBOXを買ってしまった以上、日本公開バージョンだけでなく、海外バージョンも見たいではないですか。
同じ映画のバージョン違いを立て続けに見るという贅沢を楽しめるとは、まったく珍しいことです。
どこが違うのか? §
海外バージョンの方が長いです。(89分対105分)
海外バージョンには日本語音声はなく、字幕です。
さて、長い分だけ増えたシーンとしては、どういうものがあるのでしょうか?
何か決定的に大きなエピソードが日本公開バージョンではカットされていたということがあるでしょうか?
結論から言えば、それは無いと言えます。カットされているのは、比較的小さな部分だけです。とはいえ、シーンとシーンをつなぐ描写が切られていることが多く、海外バージョンの方が自然に見ることができると思います。
ちなみに、カットされたシーンで最も印象深いのは緯度0での食事シーンでした。メニューからボタンで選ぶだけで料理が自動的に部屋まで運ばれてきます。しかし、機械が自動で料理を作るのではなく、偉い学者が作ってくれるというのが面白いところです。
え、英語音声のはずじゃ? §
この海外バージョンで最も面白いのは、英語であるにも関わらず、日本語が混ざっていることです。
たとえば、マリクの女幹部の「黒い蛾」ですが、英語音声でも「くろいが」と発音されて、英語の台詞の一部に組み込まれています。「クロイガー」と呼ばれているかのようにも聞こえます。
更に凄いのが甲保というキャラクターです。彼の発言は全て日本語です。上司のマッケンジー艦長から英語で命令されても「はい、艦長」と日本語で答えます。「はい、艦長」だけでなく、他の台詞も全て日本語です。
これは凄いですね。つまり、マッケンジーと甲保の意思疎通が成立しているということは、二人とも完全なバイリンガルということです。
どちらのバージョンがお勧めなのか? §
海外公開バージョンはちょっと長いかな……という感じもあります。
サクサクと進む日本公開バージョンの方が、スピード感があって良いかもしれません。
しかし、見終わってみると海外公開バージョンも「ああ、面白かった」と思えるので、それが悪いとも言えません。
しかし、まだ終わらない §
この映画が描いているものはいったい何であるのか。
それは、これからじっくりと考えていかないと分かりません。それだけ謎が多い感じです。
一例をあげれば。最後に登場する軍艦には明らかにアメリカ人と日本人が乗り組んでいますが、はたしてどこの国の軍艦なのか?
また、その軍艦に乗っているマッケンジーと、アルファ号のマッケンジーの関係は?
なぜ、ロートンのダイヤモンドは屑になっていたのに、銀行に預けられていた?
アルファ号には黒鮫号に対抗する武器が存在しないのに、なぜ軍艦の長である「艦長」という呼びかけが行われている?
どうして緯度0は欧米の理想世界のムードを持っているのか? そして、なぜその世界に日本人が素直に馴染んでしまうのか?
ちなみに、こういう映画は、日米合作だからこそ成立するもので、おそらく韓米合作、中米合作では作れないような気がしました。特撮技術の問題ではなく、文化的な意味で。
補足 §
日本公開バージョンを見たときには気付かなかったトピックです。
緯度0に別れを告げるあたりのシーンで、日本人の博士の娘も緯度0の色っぽい服を着て馴染んでいるところが、これもナイス!
いいですね~。好きですね~。
大和撫子だって、色気で負けてはいないのです!!
書いた直後に追記・更に増えた謎 §
コレクターズボックス付属のブックレット、冒頭のカラーページ群の中で、混浴写真のあるページの下の左側の写真。
岡田博士と鶴子とバートン先生が一緒に写っています。
場所はどう見てもマリクのアジトです。
汚れた顔の岡田博士と鶴子。3人が何かに怯えたように見ている構図から見て、救出後の光景では無さそうです。
しかし、バートン先生はアルファ号から一歩も出ておらず、マリクのアジトの島には一歩たりとも上陸はしていないのです。
ならば、この写真はいったい何でしょう?